中小企業の業務をインターネット経由で支援するベンチャー企業が増えている。人手をかけずに請求書作成や予約管理などの煩雑な業務をこなせるようにする。同様のサービスはIT(情報技術)大手なども提供しているが、クラウド技術の普及により、ベンチャーでも低価格でサービスを打ち出せるようになったと同時に、中小・零細企業や個人事業主も使いやすくなってきた。
4月に始まったばかりにもかかわらず、1千を超える事業者が使う予約管理のクラウドサービスがある。ヘアサロンやヨガスタジオから、米電気自動車ベンチャー・テスラの新車試乗会、企業の採用活動まで利用者は様々。事業者側がスマートフォン(スマホ)だけで操作できる手軽さが人気の秘密だ。
提供しているのはクービック(東京・文京、倉岡寛社長)。サービスを利用する事業者はメールアドレスなど基本情報を入力するだけで、予約受付のウェブサイトを制作してもらえる。サイト上で希望日時などを登録した消費者の予約情報は事業者のスマホに自動で通知される。事業者はメッセージ機能を使い日程調整など消費者とのやり取りも可能になる。
狙いはITの知識を問わずに使えるサービスによる幅広い事業者の取り込み。IT大手のシステムは機能が豊富な半面、パソコンを使う設計になっておりスマホで扱うには複雑すぎる。同社はスマホで操作しやすいようデザインを工夫し、機能を絞った。事業者はシステムの維持・管理や運用に人員を割く必要がなく、コストも抑えられる。
現在は販売促進で無料だが、今後は30~100件で月額980円など予約件数に応じた料金設定にする予定という。
家計簿アプリのマネーフォワード(東京・港、辻庸介社長)は、クラウド上で請求書を作成・管理できるサービスを5月下旬に始める。請求内容を修正してもクラウド上で情報を共有できる。請求書を紙で作成、郵送するのと比べると確認が容易になるほか、紛失リスクも避けられる。利用は当面無料。請求書のメール送信も可能だ。
同社のクラウド会計サービスと組み合わせて使えば、入金情報に基づき売り掛けデータも自動処理できる。会計業務の負担が減ることで、事業主は本業に充てる時間を増やせるようになる。
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